監督:大浦信行
1949年富山県生まれ。1976年より86年までニューヨークに滞在。昭和天皇を主題としたシリーズ「遠近を抱えて」14点が、日本の検閲とタブーに触れ、作品が富山県立近代美術館によって売却、図録470冊が焼却処分とされた。それを不服として裁判を起こすも、一審・二審を経て、2000年12月最高裁で棄却とされ全面敗訴。この天皇作品問題を通して、日本における「表現の自由」、天皇制とタブー、検閲について、社会・美術・言論界に問題を提起した。2009年、再び沖縄県立博物館・美術館において、「遠近を抱えて」14点の展示拒否・検閲が行われた。映像作品『遠近を抱えて』(1995年 87分)は、天皇作品問題を契機として、日本近代の蠢く闇を、皮膚感覚を通して有機的に描いたものである。次いで『日本心中 針生一郎・日本を丸ごと抱え込んでしまった男。』(2001年 90分)では、美術・文芸評論家針生一郎を主人公に据え、その言説を通して、戦後日本の歪みとねじれの構造を描ききった。2002年公開されたこの映画は、単館レイトショーとしては異例のヒットを記録し、全国各地のアートセンター・大学・美術館などで順次上映。その続編ともいうべき『9.11-8.15 日本心中』(2005年145分)では、重信メイというもうひとりの新たな主人公を得て、崩壊の予兆を孕んだ激動する現在の世界に真正面からぶつけ、あるべき未来の姿を指し示した。